空き家の水道管に定期的に水を流す作業(通水)は、建物を良好な状態で維持するために非常に重要です。通水を定期的に行うことで、水道管の破損や悪臭を防ぐことができます。空き家は人が住んでいるときに比べて劣化が早いため、換気や清掃と合わせて1ヶ月に1回以上の通水が理想的です。
空き家の管理において「通水」が必要な理由
1.水道管の劣化防止
- 長期間水を通さないと、水道管が錆び付きやすくなります。
- 錆びが進行すると、水道管の破損や赤茶色の水が出ることがあり、修理や交換に大きな費用がかかるため、定期的な通水が重要です。
2.悪臭防止
- 水道管には「排水トラップ」があり、水が溜まることで下水管に蓋をする役割を果たします。
- 空き家になると排水トラップ内の水が蒸発し、悪臭が屋内に充満しやすくなります。
- ネズミや害虫の侵入経路となる可能性もあり、近隣住宅にまで悪臭が達する恐れがあります。
3.適切な管理の証明
- 2015年5月に導入された「空き家対策の推進に関する特別措置法」により、適切な管理が行われていない空き家は「特定空家等」に指定される可能性があります。
- 特定空家等に指定されると、固定資産税が増税される措置が取られるため、所有者にとって大きな負担となります。
空き家の通水方法
1.水道の使用準備
- 水道の契約が解除されている場合は、水道の使用開始(開栓)手続きを行います。
2.通水の頻度
- 1ヶ月に1回以上が理想的です。
3.通水の手順
- 台所、浴室、洗面所など屋内の全ての蛇口、庭や玄関の水道でも行います。
- 蛇口をひねって水が出ることを確認し、そのまま最低1分以上水を流します。
- 通水することで、水道管内の錆や汚れを洗い流し、排水トラップを水で満たします。
4.水漏れの確認
- 蛇口付近からの水漏れの有無を確認します。
- ゴムパッキンの劣化や蛇口の不具合があれば、部品交換が必要です。
5.冬季の対策
- 特に冬場は水道管が凍結して設備が破損する恐れがあるため、給湯器などの水抜きも行います。
適切な管理の重要性
空き家を放置すると、大切な財産の価値を失うだけでなく、近隣住宅に被害を及ぼす恐れもあります。所有者が責任を持って管理することが必要です。遠方に住んでいるなどで定期的な管理が難しい場合は、空き家管理業者に依頼することをおすすめします。